「推力一七〇〇キログラムのヴァルターHWK509A-2ロケットエンジンを装備した、小柄な無尾翼機Me163Bは、最大速度九六〇キロ/時、高度一万二〇〇〇メートルまで三・五分という驚異的な高速機だった。だが、航続時間わずか七・五分。そのうち戦闘時間が三分前後では十分な活動はできない。さらに降着装置が特殊で安定度が低いうえに、高い腐蝕性を有して爆発しやすい薬液燃料を用いるため、離着陸は危険をきわめた。一九四四年十月七日に失った三機、パイロット二名は、いずれも故障と事故が原因だった。
Me163による敗戦までの合計戦果は、一六機あまりにすぎず、反対に事故などによる損失機数ははるかに多い。一九四四年四月から翌年の二月までに失われた第400戦闘航空団第I飛行隊のMe163は、公式資料の残っているぶんだけでも大破を含め四〇機に近い。そのうち被弾が直接の原因と判定されたのは三機だけ、残りの大半は事故によるもので、滑空着陸の失敗が目立った。」
「ジェット戦闘機Me262」(渡辺洋二) 141頁








